理科教師の日常

中学校理科教員の日常や理科についてのブログ。

令和3年度都立高校入試 理科解説

こんにちは!!

理科教師のなおです。

 

コロナで外に出れず、暇なので先日行われた都立入試の理科解いてみました。

少し例年と出題のしかたが変わりましたね。

ただ形が変わっただけであまり難易度じたいには影響していない気がしています。

 

Notionに解説まとめたので見てみてください。

 

www.notion.so

【教員向け】新しい学習評価について【授業改善】

 こんにちは!

理科教師のなおです。

巣ごもり生活も7日目を迎えました。

みそかから家を出ていません笑

明日は再開前日成績一覧表審査があるので学校に行くため、久々の外です。

果たして今後緊急事態宣言でどう変わっていくのか。。。

 

さて、今日は少し時間があったので、今まで逃げ続けてきた新学習指導要領における評価について少しだけ勉強してみました。参考にしたのは国際教育政策研究所が出している、「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料です。

www.nier.go.jp

特に中学校は観点が変わるのでしっかりと来年度からの準備をしていきたいと考えています。

 

新しい観点について

これまで4観点(国語は5観点)でやっていた観点別評価が以下の3つの観点に統一されました。

  1. 知識および技能
  2. 思考力・判断力・表現力
  3. 主体的に学習に取り組む態度

これまでの4観点における知識・理解と技能が合わさって、意欲・関心・態度が主体的に学習に取り組む態度に変わった感じですね。

これまでの観点別の評価から大きくは変わっていませんが、これまで意識しようとしていたけれど、少し別のニュアンスになってしまっていた部分やあまり重要視されていなかった部分をより強調したような観点になっています。

 

知識および技能について

この観点はこれまでの知識理解と技能が合わさった観点で大きな変化はありません。

ただ、事実上の知識や技能などを習得しているかどうかだけではなく、既有の知識や概念との関連付けや活用など他の学習や生活の場面でも活用できるかについてもしっかりと評価していく必要があります。基本的にペーパーテストで図る形になりますが、単なる1問1答形式というだけでなく、概念的な問題や文章による説明、式やグラフを用いた表現など様々な形に活用するような問題もバランスよく出していく必要がある。

 

思考力・判断力・表現力について

知識・技能を活用し、課題を解決するための力を身に付けているかを評価する。

そのため、ここで明確にグループでの話し合いなどの生徒が思考・判断・表現をする場を授業でつくる必要があることが明記されている。

論述やレポート、発表や話し合いなどペーパーテストだけでははかれないような部分での評価が求められている。

 

主体的に学習に取り組む態度

今回一番よくわからないのがこれ。

自らの学習状況を把握し、よりよく学ぼうとしているかを評価する観点。

これまでよくあった発現や挙手の回数など、行動的な面ではないと明記されているため、こうした形で評価することは難しい。例えば各授業の振り返りにおいて、自分の活動をしっかりと振り返り、自分の変容をみとるとともに、授業内でより深く学習するための工夫をしているかや粘り強く(あきらめたり、飽きることなく)学習に取り組んでいるかについて評価する。また、感性や思いやりなど評価や観点では表すことのできない部分についても、個人内評価という形で積極的に評価していく必要がある。

 

まとめ

本当に簡単に今回の新学習指導要領の学習評価、特に新しい3観点についてまとめたが、多くの面は今年1年やってきた新しい評価の仕方で方向性が間違っていないことがわかった。ただ、主体的に学習に取り組む態度、特に個人内評価の細かい方向性や評価の仕方がまだ固まっていないので引き続き勉強を続ける必要がある。

また、現在のやりかたは毎回プリントを配布回収しているためどうしても評価に時間がかかってしまっている。どのようにして今後時間を節約しながら正確な評価をしていくかが今後の課題である。

 

【仕事術】Notionで1日の記録を取る【Life Log】【タスク管理】

あけましておめでとうございます!

理科教師のなおです。

 

コロナで大変な中ではありますが、元気に新しい年を迎えることができました。

今年もよろしくお願いします!!

 

さて、昨年末の反省で「1日の中で無駄な時間を過ごしている」という反省が出てきました。そこで今年はうまくはいかないかもしれませんが1日で何にどれくらい時間をかけているのかを記録するためにLife Logを取ってみようと考えてみました。

新年始まってから少しずつ準備を進めて少し形になってきたので今日はそれを紹介してみたいと思います。

 

使用しているアプリ

今回は「Notion」というアプリを使用しています。

Notion - Notes, projects, docs

Notion - Notes, projects, docs

  • Notion Labs, Incorporated
  • 仕事効率化
  • 無料

apps.apple.com

これはいわゆるEvernoteのようなメモアプリの一種ですが、1つ1つのメモをインターネットのWebページのように扱えます。そのため、ページどうしの連携や階層化などがしやすくとても重宝しています。授業の整理等にも使いやすく、最近は単元や授業のアウトラインもこちらでつくっているので今度そちらについての記事も書いてみたいと思います。

 

実際のページ

次に実際のLife Logのページを紹介していきます。

こちらは月ごとのページです。

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月間の目標と反省、Logとして1日ごとのページをこちらに貼っています。

Life logテンプレートとあるようにLogの下に少し薄くなったテンプレートのボタンを押すと、次のような1日のLife Logのページをこのページ内に自動で作ってくれます。

 

 

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これがワンクリックでできるようにテンプレートを設定してあります。

Todoの部分は基本平日に毎日やることを自動で出るようにしておき、いらないものは消す、ほかに必要なものがあれば足していくといった形で進めています。

 

具体的には以下のように進めています

  1. 前日の夜にその日の振り返り(Look back)と翌日の目標、Todoを記入
  2. 何か行動するごとにLogの部分に時間とともに何をしたかを記入
  3. 何か考えごとをした際にはMemoの部分に記入

Memoの部分に打ち込んだことで今後も使えそうだなぁと思うことはテキスト形式からページ形式にワンクリックで変換できます。なので簡単に考え事や仕事のアイディアなどのページにリンクを張ることもできます。

もちろん画像や動画を貼り付けることもできますし、つくったWordやExcelなどのファイルも自由な位置に貼り付けることが可能です。

 

まとめ

これまで日記はつけてきましたが、感想や思ったことだけになってしまい、実際に何をしたか、どれくらいの時間がかかったかなどの記録をすることができていませんでした。実際にLogを取り始めてみてYoutubeを見ている時間などが視覚的に見れるようになってきて、少し自分を客観視できるようになってきました。

少し大げさに作ってしまったので学校が始まって時間が限られている中でどこまで続けられるかわかりませんが、できる限り続けていき、自分の生活の質を少しずつ上げていきたいと思います。

今年1年の振り返りと来年について

どうもこんにちは!

理科教師のなおです。

気付けば年の瀬。今年はコロナに始まりいろいろとあった年でしたが、何とか乗り越えることができました。

コロナ休校期間中、できるだけ学生の皆さんの役に立てればとブログの更新を宣言していましたが、授業が再開したらブログにかける時間があまりとれず気づけば何日も更新していない日々が続いていました。意思薄弱。。。

来年はもう少しブログも更新したいな。

 

 

今日は年の瀬ということで2020年の反省をしました。

今年は学校全体で授業改革に取り組んでいたこともあり、授業の改善など様々なことに取り組む1年間でした。うまくいったなと思うこともたくさんあったので、どこかで皆さんにも伝えていけたらと考えています。

 

今年1番の反省は「無駄な時間が多い」ということです。

仕事の段取りがうまくいっておらず、ぼーっとする時間ができてしまったり、家に帰ってからスマホをみる時間が増えてしまったり、、、

特に家に帰ってからのスマホをぼーっと眺める時間が非常に長いので危機感を感じています。

 

そこで今までスマホを見ていた時間を使ってブログの更新を少ししていけたらと考えています。特に授業の実践例や反省なんかができればと思っています。今後は教師向けの情報交換がメインになるかと思います。

 

来年は指導要領改訂で大きく授業を転換しなければならない時期だと思うのでそのあたりを踏まえながら授業のやり方や評価の仕方など情報交換ができればと考えています。3日坊主になるかもしれませんが、頑張りますので今後ともよろしくおねがいします!

 

【理科・生物・遺伝の規則性と遺伝子②】「遺伝の規則性」【授業解説】

こんにちは!理科教師のなおです。

今日は学校で宿題の配布・回収日でした。

 

久しぶりに子供たちの顔を見ましたがみな家での生活に飽き飽きしているようでした。

はやく学校が再開し、みんなではしゃぎまわれる日がくるといいですね。

 

それでは前回に引き続き今日も「遺伝の規則性と遺伝子」の分野の勉強をしていきたいと思います。

 

前回はメンデルの実験を紹介するところで終わったと思うのでまずはその復習から

 

1.メンデルの実験(復習)

遺伝の規則性について調べるためにメンデルさんはエンドウ豆を用いて2つの実験を行いました。

 

<実験1>

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しわ形の種子の純系と丸形の種子の純系のエンドウ豆の苗を用意(親)
しわ形の苗の花粉の丸方の苗のめしべに受粉させたところ、そこからできた種子(子)はすべて丸形の種子であった。
同様に丸形の花粉をしわ形のめしべに受粉させてもできた種子はすべて丸形であった。
 
 

<実験2>

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実験1の子世代を育てて自家受粉させると出てきた種子(孫)には丸形のものとしわ形のものの両方が現れた
 
※純系などの言葉がわからない人は前回の記事で説明しているのでそちらを読み返してみよう。
 

2.メンデルの実験からわかること

前回の記事でこの実験からわかることについて考えてみましょうという言葉で最後しめましたが、みなさん考えてみたでしょうか。理科の授業では単に事象を覚える作業をするよりも、1つ1つのことに「なぜなんだろう」と疑問をもったり、自分で考えてみるという行為が何より大事だと思います。先生に言われたことを覚えるだけでは何も力はつかないと思った方がいいです。ぜひ自分の頭を使おう!!
 
さて、今回のメンデルの法則からは何がわかるのでしょうか。
実験の結果をもとにまとめていきましょう。
 
 

考察① 子世代は丸形としわ型の両方の遺伝子を持っている

 実験2について
・子世代は両親ともに丸形なのに生まれてきた孫世代にはしわ形のものも含まれている
 ⇒形質は遺伝子によって決まることからしわ形の遺伝子を孫世代は持っている
 ⇒遺伝子は親から子へ受け継がれることから子世代もしわ形の遺伝子をもっている
・子世代は丸形の種子
 ⇒子世代は丸形の種子の遺伝子を持っている
 
 この2つを合わせると
  「子世代は丸形としわ形の両方の遺伝子を持っている」
 ということがわかる。
 

考察② 子は父母の両方から遺伝子を受け取っている

 考察①と実験1について
・父母どちらか片方からしか遺伝子を受け取っていないと考えると、先ほどの考察①の
 内容と矛盾する。
 
 このことから
 「子は父母の両方から遺伝子を受け取っている」
 ということがわかる
 

考察③ 遺伝子には発現しやすいものとしにくいものがある

 考察①と実験1について
・考察①から子世代の種子は丸形としわ形両方の遺伝子をもっていることがわかる
 ⇒どちらの遺伝子も同じ確率で発言するのであれば、丸形としわ形のどちらの遺伝子
  も持っている子世代の種子は丸形としわ形のどちらもないとおかしい。
 ⇒これはすべての種子が丸形となった実験1の結果と矛盾する。
 
 このことから
 「遺伝子には発現しやすいものとしにくいものがある」
 ということがわかる。

 

3.メンデルの法則

これらの実験の結果からメンデルは3つの法則を見つけました。
 ※中学校では2つの法則しかやりませんが実際には3つの法則があります。
  ここでは高校でやる3つ目の法則についてもついでに教えておきます。
 

分離の法則

考察から各生物の細胞には同じ形質に関する遺伝子が2つずつ入っていることがわかる。これらが生殖をつくるための細胞(生殖細胞 例:花粉やめしべの胚珠、精子卵子など)をつくる際にそれぞれバラバラに分かれて入る。これを分離の法則と呼ぶ。則。

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優性形質と劣性形質

対立形質について両方の遺伝子をもっているとき、両方の形質が現れることもあるが、多くの場合どちらか片方の形質のみが現れる。対立形質において、純系どうしを交配させて得られた子に現れる形質を優性形質、現れない形質を劣性形質とよぶ。
※優れる、劣るという漢字を使うが、決して形質の優劣で決めているわけではない。
 2017年に日本遺伝学会が用語を顕性形質潜性形質に変更
 2019年には日本学術会議でも高校生には顕性形質と潜性形質をつかうべきと提言
 していることから今後の教科書でもこちらが使われるようになるかも
 

③独立の法則

現在中学校では扱われていない法則
今回のように1種類の対立形質だけでなく、2種類の対立形質について調べると組み合わせが決まっているわけでなく、それぞれの遺伝子が独立して生殖細胞に分かれていくという法則。細かい実験等について説明するとそれだけで1記事分になってしまいそうなのでこれについてはいずれ(紹介するかも?)。
 

まとめ!!

メンデルが見つけた法則!
 ①分離の法則
  対になっている遺伝子は分かれて別々の生殖細胞に入る
 ②優性形質と劣性形質
  純系どうしを交配させたときに
   子に現れる形質  = 優性形質
   子に現れない形質 = 劣性形質
 
次回はここまででてきた遺伝子の本体について!
実験をもとに紹介していきたいとおもいます。

【理科・生物・遺伝の規則性と遺伝子①】「遺伝について①」【授業解説】

こんにちは!理科教師のなおです。
 
授業準備もだいたい1年分終わり自宅勤務が少し暇になってきました。
 
学生のみなさんは勉強できていますか?
そして先生方は何をされていますか?
 
自宅学習の手伝いになればと今日から少しずつ学生向けに授業解説用の記事を書いていきたいと思います。少しでも役に立てればうれしいです。
 

まず最初の単元は昨今話題になっているコロナウイルスとも少し関係もある中3生物分野の「遺伝の規則性と遺伝子」という分野について説明していきたいと思います。

 
それでは今日は第1回として「遺伝とは」というタイトルでやっていきたいと思います。
 
 

1.遺伝とは

 
「遺伝」という言葉はすでに広く浸透している言葉なので皆さんご存じだと思いますが、理科の教科書的には
 
 
遺伝=親の形質が子や孫に伝わること
 
 
とあります。
 
 
親子や親せきで顔や性格が似ていることがあると思いますが、そうした形や性質(合わせて形質)が代々伝わっていくことを遺伝というわけです。
 
 
似たような言葉に「遺伝子」という言葉がありますが、これは現象ではなくものの名前を指します。
みなさんのからだをつくっている細胞の中の核というものの中に大切にしまわれていて、みなさんのからだをつくる設計図がそこには書かれています。
 
この遺伝子が親から子に伝えられていくことで遺伝が起こるというわけです。
 
 
 

2.遺伝についての疑問点

 
ぱっと見て「あ!似てる」とわかる現象なので遺伝というのはとても分かりやすいように見えますが、そう単純にいかないのも遺伝です。
 
 
こうした実験があります。
 

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黒い毛のハムスターと茶色い毛のハムスターを用意し、交配させたところ全て茶色い毛のハムスターが生まれました。
この生まれた茶色い毛のハムスターどうしをさらに交配し、孫世代をつくったところ、その中には茶色い毛と黒い毛の両方のハムスターがいた。
 
 
 
このように単純に親の形質が遺伝していくといわれてもその親の形質が子に現れなかったり、子に現れなかった親の形質が孫に現れたりと様々な現象が見られました。
 
昔の研究者たちもこの内容を疑問に思い、いくつもの実験が行われました。
 
 
 

3.メンデルの実験

そこで出てくるのが遺伝の授業になると必ず名前にあがるメンデルさんです。
 
彼は教師になるという夢をかなえられず挫折しながらも実験を続け、多くの人が見つけることのできなかった遺伝の規則性について発見した最初の人となりました。
 
彼の実験について紹介する前に少し専門用語が出てくるのでそれについて説明しておきましょう。
 

<遺伝によく出る専門用語>

形質
 先ほども述べましたが、生物のもつ形や性質などをまとめて形質と呼びます。
対立形質
 先ほどのハムスターの例の黒い毛と茶色い毛のようにどちらか一方が出るといった対をなす形質をさす。
自家受粉
 植物に対して使われる用語。自分の花粉が自分のめしべにつくことで受粉を行うこと。
純系
 「純血」といった似たような言葉がハリーポッターにも出てきましたね。
 何度自家受粉を繰り返してもある形質について、親と同じ形質しか出てこない形質のことを純系といいます。
 
 
それでは実際にメンデルの実験について説明していきたいと思います。
メンデルは育てやすいこと、種子が確認しやすいこと、自家受粉させやすことなどを理由にエンドウ豆の種子に着目。
この種子の対立形質「しわ形の種子」と「丸形の種子」について2つの実験を行いました。
 ※補足 「しわ形の種子」:種皮が少し余っており、しわしわの見た目の種子
     「丸形の種子」 :種皮にあまりがなく、ぴっちりとした丸い形の種子
 

<実験1>

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しわ形の種子の純系と丸形の種子の純系のエンドウ豆の苗を用意(親)
しわ形の苗の花粉の丸方の苗のめしべに受粉させたところ、そこからできた種子(子)はすべて丸形の種子であった。
同様に丸形の花粉をしわ形のめしべに受粉させてもできた種子はすべて丸形であった。
 
 
<実験2>

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実験1の子世代を育てて自家受粉させると出てきた種子(孫)には丸形のものとしわ形のものの両方が現れた
 
 
といったところで今日の授業はここまで、
次回はこの実験についての解説から遺伝の規則性について話していきたいと思います。
ぜひこの実験からわかることについて次回の授業までに考えてみてください。
理科では考えることこそが成長につながります!
 
それでは!また次回!!

【理科・授業解説】静電気発生の仕組み【物理・電気】

みなさんこんにちは!

理科教師のなおです。とっても寒い日々が続いていますね。

私は寒いのが苦手なので夏が待ち遠しい、、、

 

さて、中2の授業では天気の分野も終わり、電気の分野が始まっています。

電気はとても面白い分野ですが、感覚的に学習してしまったり、ただ公式を覚えるだけになってしまったりと大雑把に扱われがちです。

私も中2の頃はただ覚えるだけの授業になってしまっていたなと反省しています。

今回はそんな電気の授業のはじめにあつかう静電気の発生について解説していきたいと思います。

 

1.世の中の物質の構成

静電気について説明するためにはまず世の中に存在する物質が何でできているかを説明していく必要があります。

例えば皆さんが普段学校の教室で使っている机は何でできているでしょうか。

木や鉄、プラスチックなどいくつかの材料で作られていると思います。

 

じゃあその木や鉄は何でできていますか?

 

そうやって世の中のものは何でできているんだろうとどんどん掘り下げて考えていく人々が昔いました。

その人たちは考えて考えて考えて最終的に「それ以上分割することのできない粒子になる」という結論にたどりつきました。

それが以前化学の分野で扱った「原子」というものです。この世には100種類以上の原子が存在していて、それが組み合わさることで全ての物質が構成されています。しかしながら、実は原子もある小さな粒でできていることをみなさんご存知でしょうか。

原子は以下の図のようにプラスの電気をもった原子核とマイナスの電気をもった電子が集まることでできています。

 

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ちなみにもっと細かく見ていくと原子核はさらに小さなプラスの粒子陽子と電気的性質を持たない中性子に分かれています。

原子核の周りの電子ですが実は地球の周りを回る月のように原子核の周りをぐるぐると飛び回っています。

 

 

2.静電気発生の仕組み

さて、ここから静電気発生の仕組みについて。

先程原子核の周りを飛び回っていると伝えた電子ですが、実はちょっとした力が加わると普段飛び回っている原子核の周りから離れていってしまう場合があります。

通常静電気の発生は異なる物質をこすり合わせることで発生します。物質にはマイナスの電気をもつ電子を手放しやすい物質と受け取りやすい物質が存在します。たとえば服などの繊維に用いられるナイロンとポリエステルではナイロンの方が電子を手放しやすく、ポリエステルの方が電子を受け取りやすい。そのため、ナイロンとポリエステルをこすり合わせるとナイロンからポリエステルへ電子が移動してしまう。

 

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 通常の原子ではプラスの粒とマイナスの粒が同数で存在するため、電気的には中性(プラスにもマイナスにも傾いていない状態)であるが、こうした電子の移動が起こると片方はマイナスの電気を多く持つためマイナスに、もう片方はマイナスの電気が少なくなるためプラスに傾いた状態になってしまう。この状態を「帯電」と呼ぶ。

マイナスの電気が多い状態を「マイナスに帯電」、プラスの電気が多い状態を「プラスに帯電」という。

 

電気の+と−は磁石のN極とS極のように異なるものは引き合い、同じものは反発しあう性質をもつ。

そのため静電気はくっついたり反発し合ったりといった性質を示す。

 

 

3.まとめ

静電気は異なる物質が擦れあったりすることで、電子の移動が電気的な偏りが生じることで発生する。