理科教師の日常

中学校理科教員の日常や理科についてのブログ。

令和5年度都立入試理科解説(大問5)

こんにちは!理科教師のなおです。

今日は都立入試理科解説 大問5をやっていきたいと思います。

問題はこちらから確認してください。

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/ability_test/problem_and_answer/files/release20230221_09/rika_mondai.pdf

 

問1塩化銅が蒸留水に溶けて陽イオンと陰イオンに分かれたモデルとして正しいものを選べ。

塩化銅は化学式で表すとCuCl2(2は本当は下付き)。Cu原子1つとCl原子2つでできている。水に溶かすとこれらは電離してイオンとなる。Cuは陽イオン、Clは陰イオンとなるため、陽イオンと陰イオンが1:2の割合で存在している。そのため答えは「ア」。

問2電極Aは陽極と陰極どちら?回路に流れる電流の向きは?

電源の+極側につながる電極を陽極、ー極側を陰極と呼ぶ。<図1>から、電極Aはー極につながっているのがわかるので、電極Aは陰極。電流は電源装置の+極からー極に流れるので、電流の流れはD。よって答えは「エ」となる。

ちなみに、電子の流れに関してはー極から+極となるので注意。

問3<結果1>をもとに、電極B付近で生成された物質が発生する仕組みについて説明した文章の穴埋めをせよ。

結果から、刺激臭を発生する気体であり、水溶液中にある原子から発生するのは塩素であることがわかる。塩素の単体は「Cl2」であるため、塩素の発生には塩化物イオンが2個必要である。また、塩化物イオンは陰イオンであるため、塩素原子よりも電子が2つ多い状態になっている。そのため、塩素分子になるためには電子を放出する必要がある。以上のことをまとめると、答えは「イ」。

問4<結果1>から、電流を流した時間と水溶液中の銅イオンの数の変改の関係を模式的に示したものとして適切なものを選べ。<結果2>から,電流を流した時間とナトリウムイオンの数の変化の関係を模式的に示したものとして適切なものを選べ。

イオンの数がどう変化していくかをまとめたグラフを選ぶ問題。

実験1では

 陽極:銅イオンが銅に変化

 陰極:塩化物イオンが塩素に変化

そのため、反応が進むにつれて、水溶液中では銅イオンと塩化物イオンが減っていく。

問題となっている銅イオンはどんどん減っていくため、それを表すグラフは「イ」

実験2では

 陽極:水酸化物イオンが酸素に変化

 陰極:水素イオンが水素に変化

そのため反応が進むにつれて、水酸化物イオンと水素イオンが水溶液から減っていきます。しかし、問題となっているナトリウムイオンはどちらの電極の反応にも関係しないので、増えも減りもしません。そのため、「ウ」のグラフが答えになってくる。

 

モデルなどそれぞれの反応を粒子でイメージする能力が確認されている問題が多い。単純な知識として単語や式だけ暗記するのではなく、どうしてそのような形になるのかをイメージとしてもっておけると良いかもしれません。