理科教師の日常

中学校理科教員の日常や理科についてのブログ。

【理科・生物・遺伝の規則性と遺伝子②】「遺伝の規則性」【授業解説】

こんにちは!理科教師のなおです。

今日は学校で宿題の配布・回収日でした。

 

久しぶりに子供たちの顔を見ましたがみな家での生活に飽き飽きしているようでした。

はやく学校が再開し、みんなではしゃぎまわれる日がくるといいですね。

 

それでは前回に引き続き今日も「遺伝の規則性と遺伝子」の分野の勉強をしていきたいと思います。

 

前回はメンデルの実験を紹介するところで終わったと思うのでまずはその復習から

 

1.メンデルの実験(復習)

遺伝の規則性について調べるためにメンデルさんはエンドウ豆を用いて2つの実験を行いました。

 

<実験1>

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しわ形の種子の純系と丸形の種子の純系のエンドウ豆の苗を用意(親)
しわ形の苗の花粉の丸方の苗のめしべに受粉させたところ、そこからできた種子(子)はすべて丸形の種子であった。
同様に丸形の花粉をしわ形のめしべに受粉させてもできた種子はすべて丸形であった。
 
 

<実験2>

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実験1の子世代を育てて自家受粉させると出てきた種子(孫)には丸形のものとしわ形のものの両方が現れた
 
※純系などの言葉がわからない人は前回の記事で説明しているのでそちらを読み返してみよう。
 

2.メンデルの実験からわかること

前回の記事でこの実験からわかることについて考えてみましょうという言葉で最後しめましたが、みなさん考えてみたでしょうか。理科の授業では単に事象を覚える作業をするよりも、1つ1つのことに「なぜなんだろう」と疑問をもったり、自分で考えてみるという行為が何より大事だと思います。先生に言われたことを覚えるだけでは何も力はつかないと思った方がいいです。ぜひ自分の頭を使おう!!
 
さて、今回のメンデルの法則からは何がわかるのでしょうか。
実験の結果をもとにまとめていきましょう。
 
 

考察① 子世代は丸形としわ型の両方の遺伝子を持っている

 実験2について
・子世代は両親ともに丸形なのに生まれてきた孫世代にはしわ形のものも含まれている
 ⇒形質は遺伝子によって決まることからしわ形の遺伝子を孫世代は持っている
 ⇒遺伝子は親から子へ受け継がれることから子世代もしわ形の遺伝子をもっている
・子世代は丸形の種子
 ⇒子世代は丸形の種子の遺伝子を持っている
 
 この2つを合わせると
  「子世代は丸形としわ形の両方の遺伝子を持っている」
 ということがわかる。
 

考察② 子は父母の両方から遺伝子を受け取っている

 考察①と実験1について
・父母どちらか片方からしか遺伝子を受け取っていないと考えると、先ほどの考察①の
 内容と矛盾する。
 
 このことから
 「子は父母の両方から遺伝子を受け取っている」
 ということがわかる
 

考察③ 遺伝子には発現しやすいものとしにくいものがある

 考察①と実験1について
・考察①から子世代の種子は丸形としわ形両方の遺伝子をもっていることがわかる
 ⇒どちらの遺伝子も同じ確率で発言するのであれば、丸形としわ形のどちらの遺伝子
  も持っている子世代の種子は丸形としわ形のどちらもないとおかしい。
 ⇒これはすべての種子が丸形となった実験1の結果と矛盾する。
 
 このことから
 「遺伝子には発現しやすいものとしにくいものがある」
 ということがわかる。

 

3.メンデルの法則

これらの実験の結果からメンデルは3つの法則を見つけました。
 ※中学校では2つの法則しかやりませんが実際には3つの法則があります。
  ここでは高校でやる3つ目の法則についてもついでに教えておきます。
 

分離の法則

考察から各生物の細胞には同じ形質に関する遺伝子が2つずつ入っていることがわかる。これらが生殖をつくるための細胞(生殖細胞 例:花粉やめしべの胚珠、精子卵子など)をつくる際にそれぞれバラバラに分かれて入る。これを分離の法則と呼ぶ。則。

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優性形質と劣性形質

対立形質について両方の遺伝子をもっているとき、両方の形質が現れることもあるが、多くの場合どちらか片方の形質のみが現れる。対立形質において、純系どうしを交配させて得られた子に現れる形質を優性形質、現れない形質を劣性形質とよぶ。
※優れる、劣るという漢字を使うが、決して形質の優劣で決めているわけではない。
 2017年に日本遺伝学会が用語を顕性形質潜性形質に変更
 2019年には日本学術会議でも高校生には顕性形質と潜性形質をつかうべきと提言
 していることから今後の教科書でもこちらが使われるようになるかも
 

③独立の法則

現在中学校では扱われていない法則
今回のように1種類の対立形質だけでなく、2種類の対立形質について調べると組み合わせが決まっているわけでなく、それぞれの遺伝子が独立して生殖細胞に分かれていくという法則。細かい実験等について説明するとそれだけで1記事分になってしまいそうなのでこれについてはいずれ(紹介するかも?)。
 

まとめ!!

メンデルが見つけた法則!
 ①分離の法則
  対になっている遺伝子は分かれて別々の生殖細胞に入る
 ②優性形質と劣性形質
  純系どうしを交配させたときに
   子に現れる形質  = 優性形質
   子に現れない形質 = 劣性形質
 
次回はここまででてきた遺伝子の本体について!
実験をもとに紹介していきたいとおもいます。