理科教師の日常

中学校理科教員の日常や理科についてのブログ。

【理科・生物・遺伝の規則性と遺伝子①】「遺伝について①」【授業解説】

こんにちは!理科教師のなおです。
 
授業準備もだいたい1年分終わり自宅勤務が少し暇になってきました。
 
学生のみなさんは勉強できていますか?
そして先生方は何をされていますか?
 
自宅学習の手伝いになればと今日から少しずつ学生向けに授業解説用の記事を書いていきたいと思います。少しでも役に立てればうれしいです。
 

まず最初の単元は昨今話題になっているコロナウイルスとも少し関係もある中3生物分野の「遺伝の規則性と遺伝子」という分野について説明していきたいと思います。

 
それでは今日は第1回として「遺伝とは」というタイトルでやっていきたいと思います。
 
 

1.遺伝とは

 
「遺伝」という言葉はすでに広く浸透している言葉なので皆さんご存じだと思いますが、理科の教科書的には
 
 
遺伝=親の形質が子や孫に伝わること
 
 
とあります。
 
 
親子や親せきで顔や性格が似ていることがあると思いますが、そうした形や性質(合わせて形質)が代々伝わっていくことを遺伝というわけです。
 
 
似たような言葉に「遺伝子」という言葉がありますが、これは現象ではなくものの名前を指します。
みなさんのからだをつくっている細胞の中の核というものの中に大切にしまわれていて、みなさんのからだをつくる設計図がそこには書かれています。
 
この遺伝子が親から子に伝えられていくことで遺伝が起こるというわけです。
 
 
 

2.遺伝についての疑問点

 
ぱっと見て「あ!似てる」とわかる現象なので遺伝というのはとても分かりやすいように見えますが、そう単純にいかないのも遺伝です。
 
 
こうした実験があります。
 

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黒い毛のハムスターと茶色い毛のハムスターを用意し、交配させたところ全て茶色い毛のハムスターが生まれました。
この生まれた茶色い毛のハムスターどうしをさらに交配し、孫世代をつくったところ、その中には茶色い毛と黒い毛の両方のハムスターがいた。
 
 
 
このように単純に親の形質が遺伝していくといわれてもその親の形質が子に現れなかったり、子に現れなかった親の形質が孫に現れたりと様々な現象が見られました。
 
昔の研究者たちもこの内容を疑問に思い、いくつもの実験が行われました。
 
 
 

3.メンデルの実験

そこで出てくるのが遺伝の授業になると必ず名前にあがるメンデルさんです。
 
彼は教師になるという夢をかなえられず挫折しながらも実験を続け、多くの人が見つけることのできなかった遺伝の規則性について発見した最初の人となりました。
 
彼の実験について紹介する前に少し専門用語が出てくるのでそれについて説明しておきましょう。
 

<遺伝によく出る専門用語>

形質
 先ほども述べましたが、生物のもつ形や性質などをまとめて形質と呼びます。
対立形質
 先ほどのハムスターの例の黒い毛と茶色い毛のようにどちらか一方が出るといった対をなす形質をさす。
自家受粉
 植物に対して使われる用語。自分の花粉が自分のめしべにつくことで受粉を行うこと。
純系
 「純血」といった似たような言葉がハリーポッターにも出てきましたね。
 何度自家受粉を繰り返してもある形質について、親と同じ形質しか出てこない形質のことを純系といいます。
 
 
それでは実際にメンデルの実験について説明していきたいと思います。
メンデルは育てやすいこと、種子が確認しやすいこと、自家受粉させやすことなどを理由にエンドウ豆の種子に着目。
この種子の対立形質「しわ形の種子」と「丸形の種子」について2つの実験を行いました。
 ※補足 「しわ形の種子」:種皮が少し余っており、しわしわの見た目の種子
     「丸形の種子」 :種皮にあまりがなく、ぴっちりとした丸い形の種子
 

<実験1>

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しわ形の種子の純系と丸形の種子の純系のエンドウ豆の苗を用意(親)
しわ形の苗の花粉の丸方の苗のめしべに受粉させたところ、そこからできた種子(子)はすべて丸形の種子であった。
同様に丸形の花粉をしわ形のめしべに受粉させてもできた種子はすべて丸形であった。
 
 
<実験2>

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実験1の子世代を育てて自家受粉させると出てきた種子(孫)には丸形のものとしわ形のものの両方が現れた
 
 
といったところで今日の授業はここまで、
次回はこの実験についての解説から遺伝の規則性について話していきたいと思います。
ぜひこの実験からわかることについて次回の授業までに考えてみてください。
理科では考えることこそが成長につながります!
 
それでは!また次回!!