【理科・天気】気象通報を聞いてみよう!【授業・実習】
こんにちは!理科教師のなおです!
最近寒くて参りますね><
もともと水泳をずっとやっていたのもあるのか夏は大好きなのですが、冬の寒いのが大嫌いです。いつもダウンとヒートテックで冬はモコモコになります。
さてさて。この寒い時期になると中2は天気図を用いて冬の気圧配置「西高東低」を勉強し、東京に雪が降りにくいことを学んでいきます。そうした天気図に慣れ親しむ意味で私が毎年行っているのが「気象通報からの天気図の作成」です。今日はその気象通報の聞き取り授業について授業展開を紹介していきたいと思います。
1.気象通報とは
そもそも今の時代の人々(私もまだ30前ですがw)には聞きなじみのない「気象通報」という言葉。これはNHKのラジオで毎日14:00に流れており、各地の気象観測地点で得られた気象情報を放送する番組になります。
気象通報が始まったのは昭和3年。
それまでは新聞、官報、交番の掲示板などの方法でしか各地の天気を知ることができませんでした。その結果、その場に行けない、新聞が届かないといった場所にいる人々はなかなか各地の天気の情報について知ることができませんでした。
特に問題だったのが船の乗組員。航海にでたら最後、ほとんど天気の情報を得る手段がなく、天候の急変によって海難事故に巻き込まれることも少なくありませんでした。
しかし、気象通報開始によって海上を含め多くの場所で手軽に各地の天気情報を手にすることができるようになり、その後の天気の変化を予測しやすくなったため翌年の海難事故件数は激減することとなりました。
開始当初は1日3回の放送でしたが、現在ではインターネット等の普及により気象通報がなくても正確で即時的な情報を得ることができるようになったため1日1回の放送になっています。
しかしながら、言葉のみで伝えるという手軽さ、テレビ・インターネット回線も必要ないラジオ放送等といった理由もあり、まだまだ多くの需要があります。
2.気象通報の構成
気象通報は以下のような構成で放送されます。
(1) 各地の天気
各地の風向、風力、天気、気温、気圧を順番に伝えていきます。
(2) 船舶からの報告
船舶から気象庁に送られてきた情報。上記の報告の他にどの座標における情報かが伝えられる。
(3) 漁業気象
航海において気を付けるべき気象情報が座標とともに流れてくる。
例:濃い霧の情報など
(4) 低気圧・高気圧の情報
どの座標に現在高気圧・低気圧が発生しているかをその圧力とともに伝える。前線を伴う場合にはその情報も流れる。
(5) 等圧線の情報
等圧線を引く際の参考になるように、同じ気圧の地点の座標を伝える。
3.気象通報を用いた授業
私はこの気象通報を聞き取ることによって自分で天気図をつくる練習をしています。
この実習を通して、以下の力が身につくといいなーと考えています。
① 天気記号を自由に使えるようになること
② 等圧線をはじめ自分で天気図がかけるようになること
その後行う天気予報を含めて全5回の授業になっています。授業展開は以下の通りです。
1時間目 気象通報とは
導入:今後のめあてを伝える
天気予報をできるようになることが目標であること、そのためにしばらくは自分で天気の情報を集める練習をしていくことを伝える。
展開①:気象通報について知る
気象通報の歴史、天気通報の構成について知る
展開②:気象通報を聞いてみよう
実際に気象通報の聞き取りをしてみるまずは1地点、2地点だけ聞きとりをしてみる。
最初はメモが全く間に合わないので、風向を英語にする(例:北=N、北北東=NNE)など どうすれば聞き取りやすくなるかなどの工夫を考えさせ、クラス全体で共有する。10分ほどでほとんどの生徒が普通に聞き取りができるようになるので徐々に1回で聞き取る量を増やしていく。
ちなみに気象通報については、公式の用紙があるので聞き取りの際には以下のものをつかうといいです。
https://www.tsumura-shoten.com/shop/index.cgi?mode=item_view&no=BK-44016
アマゾンや楽天市場でも売っていましたが、とても高かったのでこちらの公式のものを買った方がいいと思います。私は高かったのでプリントを自作してしまいましたが、、、w
2時間目 気象通報の情報を聞き取り、天気図をかく
導入:めあてを伝える
本日の目標は天気図をかくことであることを伝える
展開①:天気通報を聞ききる
前回の授業で聞き取れなかった部分を一気に聞き取らせる。前回練習しているので大抵の生徒は聞き取りが可能。聞き取りが終わったら周囲の子たちで見せあい、間違っているところはないか生徒どうしで確認させる。
展開②:天気図の作成
聞き取った情報をもとに、各地の天気、風向・風力、気圧を天気記号で記入させる。
3時間目 等圧線を書いてみる
導入:めあてを伝える
本日の目標は前回かいた天気図に等圧線を記入することであることを伝える。
展開①:気象通報の聞き取り
気象通報で低気圧、高気圧の位置と大きさ、等圧線の基準を聞き取る。ただし、座標の聞き取りが最初難しいので、その部分に関しては何度か練習をしてみる。
展開②:等圧線をかく
等圧線の書き方を説明したのち、等圧線をかかせる。班員と相談しあいながらやらせるとどんどん進めていく。
4時間目 天気予報をしてみる
導入:めあてを伝える
本日の目標が天気予報をすることであることを伝える。
展開①:前回の天気図と実際の天気図を見比べてみる
自分の天気図があっているかどうかを確認する
展開②:天気予報を行う
1週間分の天気図を与え、その情報からその翌日の天気予報を行う。
その際必ず自分で理由を書かせることを徹底させる。全く考えられない生徒もいるので、班で相談しながら考えさせ、最後に自分の意見としてまとめさせる。
5時間目 まとめ、天気予報の利用について
導入:めあてを伝える
天気予報のまとめをすることを伝える
展開①:天気予報の反省をする
自分の予想と実際の天気を見比べて、自分が見落とした部分はどこかなのか等の考察を行う。
展開②:天気予報の現場について知る
NHK for Schoolにある「命を守るチカラ 天気予報で災害を防ぐ・気象台」を見て実際の天気予報の現場の様子等を見るとともに、気象災害の予防に天気予報が役立てられていることを学ぶ。最後にこれまでの感想を書いて終了
4.授業をやってみての感想
なかなか天気予報まで完璧にできる生徒はいないです笑
ただ、気象通報、天気図についてはかなりの精度でみんなかいてきています。やる前はただ聞き取りなのでつまらない感じになってしまうかなぁという心配もあったのですが、意外と聞き取りゲームのような感覚になってくれて盛り上がりながら聞き取りをすることができました。天気図自体もかなりの量かくことになるので、意外といい練習になります。
天気図や天気に親しみをもつためにもぜひ気象通報聞き取りやってみてください。