理科教師の日常

中学校理科教員の日常や理科についてのブログ。

【理科・小話】ポケモンの進化は決して『進化』ではない!!【生物】

〇現在広がっている誤った進化の認識
 現状、最も進化という言葉が浸透しているのはゲームや漫画などの二次元の世界である。
 その中でも「ポケモン」が進化という言葉を広げたのは疑いもない事実であろう。
 生徒に進化のイメージを聞いても必ず「ポケモン」という言葉が返ってくる。
 しかし、これはゲームが子供たちに植え付けた誤った進化のイメージである。
 
〇進化とは
 そもそも進化について国語辞典を調べてみると
 「生物が、周囲の条件やそれ自身の内部の発達によって、長い間にしだいに変化し、種や属の段階
 を超えて新しい生物を生じるなどすること。(goo国語辞典)」とある。
 また理科の教科書を見てみても
 「生物の性質や特徴が長い年月を経て、代を重ねるごとに少しずつ変化していくこと」とある。
 
 特に注目してほしいのは理科の教科書に載っている「代を重ねるごとに」という部分である。
 
ポケモンの進化について
 最も有名なポケモンであるピカチュウについて考えてみよう。
 
 
 これはポケモンの中でも最も有名な進化と言えよう。しかし実際にはこれは進化ではない。なぜな
 らこれは「同一個体」おける変化であり、「代を重ねて」いないからである。ピンとこない人のた
 めに、もう少しわかりやすい例としてビードルの進化について考えてみよう。
 
ビードルの進化
 幼虫の形をしたビードルであるが、レベルが上がると蛹であるコクーンに。そのコクーンがレベル
 が上がると羽化して蜂であるスピアーに変化していく。この流れを現実世界では何と呼ぶだろう
 か。昆虫である蜂ではこの変化のことを「変態」、特に蛹を経て変化していくことを「完全変態
 と呼ぶ。このように動物の個体が成長に伴い、形態を変えていくことを「変態」と呼ぶのである。
 つまりピカチュウからライチュウへの変化をはじめ、ポケモンの変化はすべて「変態」と呼ぶこと
 ができる。ちなみにピカチュウの変態は蛹を経ないので「不完全変態」である。
 
〇まとめ
進化という言葉を世に広めたポケモンであるが、実際には正確な意味で進化という言葉をつかえていない。これからはポケモンの進化については「変態」と呼ぶようにしよう。